研究(Research)

研 究テーマ

主要な研究テーマは以下の3つです。

  1. 味覚(嗅覚・風味)への学習
     【味刺激への好ききらいの脳基盤:味覚嫌悪・味覚嗜好学習と記憶】
  2. おいしい 飲食物の過剰摂取・拒食様行動
     【食行動異常の脳・生理基盤】
  3. 新規な味・匂い刺激の摂 取を回避する行動傾向
     【味覚(嗅覚)性新奇恐怖】

他にもさまざまな研究テーマに取り組んでいます。
それらは卒 業論文修 士論文の研究テーマを参照してください。
キーワードは、「おいしさとその変容」、「味覚嗜好性(おいしさ)に基づく摂取」、「快・不快」、「報酬」であり、それらのプロセスに関わる脳・ 生理 基盤の解明を目指しています。

Microscope

今後、他大学や学内の他の研究室との共同研究を進めることで、これらの研究における成果が得られるように努力していきます。

1. 味・匂い刺激への好ききらいの学習と記憶

1-1. 味覚嫌悪学習の脳機構
ある味(例:甘味刺激)を摂取した後で、体調不良を経験すると、その味を嫌いになってしまう学習(味覚嫌悪学習)があります。これは古典的条件づけの一つと考えら れていますが、他の古典的条件づけとは異なる特性をいくつも持つ興味深い学習です。味覚嫌悪学習は、実験室において動物に簡便に獲得させることが できる学習モデルの一つです。ラットやマウスにおいて、甘味刺激であるサッカリン(人工甘味料)やショ糖の水溶液への味覚嫌悪を形成させる実験が 多く行わています。
 味覚嫌悪学習の獲得・保持・想起に、そして、学習に伴って 生じる 味覚への嗜好性変化に、どのような脳機構(中枢神経系メカニズム)が関わっているのかを研究しています。近年は、脳内報酬系や扁桃体、大脳基底核の役割につい て着目し、脳局所破壊法、行動薬理学的手法や免疫組織化学的手法などを組み合わせて研究しています。味覚嫌悪学習を接近-回避コンフリクトのモデ ル系の一つ として、味刺激への接近-回避を制御する脳機構の解明へ向けた研究も行っています。さらに、それらの学習に関わる分子メカニズムについても、今後、研究を進めていく予定で す。


(乾・志村、大阪大学大学院人間科学研究科紀要. 34: 111-128より引用。)

味覚への嫌悪・嗜好学習の解析には、さまざまな手法を用いて解析しています。

 ⦿ 行動学的手法
    一ビン法、二ビン法、味覚反応テスト、リック解析法
 ⦿ 脳内局所破壊法
    圧注入法、イオン電気泳動法
 ⦿ 行動薬理学的手法
    脳内微量投与法
 ⦿ 免疫組織化学的手法
    神経活動マーカーの免疫染色法

1-2. 味覚(風味)嗜好学習の脳機構

ある味の摂取と栄養摂取とを対になって体験(対呈示)すると、その味を好きになる学習 (味覚嗜好学習)があります。また、風味と栄養摂取との連合による風味嗜好学習も形成される場合があります。マウスを用いて、それらの嗜好学習の 獲得・保持・想起 に関わる扁桃体や脳内報酬系の役割を研究しています(Yasoshima et al., Neuroscience 2015)。また、カフェインなどの本来は嫌悪(摂取忌避)される味刺激の摂取が増加していく現象につい ても研究を進めていく予定です。


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2. 食行動異常の脳・生理機構

2-1. おいしい飲食物の過 剰摂取の脳機構
おいしい食物、特に甘い飲食物を過剰に摂取してしまう行動異常の形成や維持の脳・生理基盤の解明を目指しています。そのために、 マウスにおけるショ糖の過剰摂取行動モデルを作製しました(Yasoshima and Shimura, Physiol. Behav. 2015)。この実験モデル系を用いて、過食行動に関連する生理的機序や脳部位などの生物機構をさまざまな手法(行動学的手 法、免疫染色法、行動薬理学的手法、ELISA法など)を用いて解明したいと考えています。現在、このテーマについて進めている研究 は以下の通りです。
  • 消化管ホルモンの脳機構への作用
  • ストレスや快・不快などの情動性に関連する扁桃体の役割
  • 味覚や内臓感覚の感覚情報処理に関わる大脳皮質である島皮質の関与
  • 習慣性行動もしくは依存様行動に関わる脳内報酬系や大脳基底核の役割
  • ドーパミン作動性神経系の役割とそれを媒介する分子機構     

       
左3つのイラストは、「いらすとや(http://www.irasutoya.com/)」から頂 きました。ありがとうございます。



2-2. 拒食様行動に関わる脳 機構の研究
おいしい食物を目の前に呈示されても、それを摂取する動機づけが急性的もしくは(半)慢性的に減退してしまう場合があります。このような 食思不振の生物基盤を解明するために、共同研究者が作出したマウスでの拒食様行動モデル系(Sasaki, Yasoshima et al., Appetite 2017)を 用いて、食物の味覚嗜好性や報酬価値が変容するのかどうか、どのような分子・神経基盤がそれらの変容に関わるのかについて探究していく予定です。


3. 味覚性・嗅覚性の新奇恐怖の脳機構

おいしい食べ物や高嗜好性の飲食物であっても、初めてそれに遭遇するとラットやマウスはそれを摂取することを控えることがあります。このような摂食回避の行動傾向を新奇恐 怖と呼びま す。新奇恐怖はヒトでも観られる場合があり、食べず嫌いとも関連があると示唆されています。また、新奇な味・匂い刺激が、新奇ではなくなっていく(つまり、摂取量が増大し ていく)現象は、学習過程であるとも考えられています。新奇な味・匂い刺激の摂取を避ける行動やその摂取が増加していく過程にどのような脳機構が 関わるのでしょうか。現在は、新奇恐怖における扁桃体の役割について解析しています。また、他の脳部位の役割についても研究遂行中です。味覚性新 奇恐怖に関わる解説文はこちら(篠原・八十島, 2018)


そ の他:
新 規な遺伝子改変マウスにおける味覚関連行動の特性   
特定の遺伝子を欠損させたマウスの味溶液摂取行動を調べ、遺伝子と行動の関係を調べています。行動解析が主要な取り組みです。
食事タイミングと行動リズム
食事タイミングが行動の日内リズムにも影響することが多くの論文にて報告されています。我々も、動物への給餌タ イミングと食行動との関連 について、食物報酬や睡眠との関連を考慮しながら研究しています。
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